肝斑(シミの一種)
症状と原因
肝斑とは、30〜50歳代の女性の顔面によくみられるシミの一種で、両頬に左右対称性に見られるのが最も多いタイプですが、頬以外にも額、鼻の下、顎などにもみられることがあります。
原因ははっきりしていませんが、夏に濃くなる傾向や顔の中でも突出して紫外線が当たりやすいところに出現することから、紫外線が影響している可能性があるとされています。また、妊娠や出産、ピルの内服をきっかけに出現することも多いため、女性ホルモンの関与も指摘されています。
肝斑以外にも顔にできるシミはさまざまで、最も多いのは日光性色素斑(老人性色素斑)、他にもソバカスと呼ばれている雀卵斑、後天性両側性太田母斑様色素斑などがあります。とくに後天性両側性太田母斑様色素斑と肝斑は、ともに出やすい部分が同じで、見た目もよく似ているため、時に区別が難しいことがあります。また、これら数種のシミに肝斑が重なっている場合もあり、肝斑以外のシミに対してレーザー治療を受ける前に、肝斑が隠れていないかどうか、皮膚科専門医による診察を受けることが大切です。
治療
美容皮膚科領域でシミに対して盛んにレーザー治療が取り入れられている昨今ですが、肝斑というシミに限ってはレーザー治療やIPLという光の治療は無効、むしろ照射により悪化するといわれています。ただ、レーザーの中でもレーザートーニングという照射方法は肝斑を薄く目立たなくするのに効果的です。当院はレーザートーニングの治験を行い、安全性と有効性を確認しております。
レーザートーニング以外では内服治療、外用治療をお勧めしています。
内服治療は、ビタミンCとトラネキサム酸の2種類を主に処方しています。
ビタミンCはメラニン合成の過程を還元作用で邪魔をすることで美白作用があります。ちなみに市販のビタミンCは吸収が悪く尿から排泄されてしまいがちです。
トラネキサム酸は止血作用、抗炎症作用もあるため、多岐にわたって古くから処方される薬剤ですが、肝斑になぜ効果があるのかははっきりとはわかっていません。しかし、トラネキサム酸の止血作用の機序で抗プラスミン作用という働きがあり、紫外線、妊娠、ピル内服によってプラスミン活性が増加することが知られていて、この作用によりトラネキサム酸が肝斑に効果があるという説が有力のようです。
内服量はこちらで調整いたします。まず、2〜3ヶ月は飲まれると効果が期待できます。
外用治療は、ハイドロキノンやトレチノイン(いずれも保険適応外)をご希望の方にお勧めしています。
ハイドロキノンとは、メラニン合成を妨げるため効果があるといわれており、最近は安定性の高い製品が出てきており、3ヶ月以上の使用で効果が期待されます。
トレチノインとは、ビタミンAのカルボン酸誘導体で、表皮の角化を促して表皮のターンオーバーを高めることでメラニンの排泄も促すために、ハイドロキノンと同様にシミ全般に効果があるといわれています。ただし、塗った部分の副作用として、肌が赤くなったり、カサカサ、ヒリヒリといった症状が出現することが多く、少しばかりの我慢が必要です。
これらの刺激症状が心配な方には、皮膚への刺激が少ないタイプのレチノイド(ビタミンAの総称)を含有したクリームもご用意しています。
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普段のお手入れ
また、普段から基礎化粧品としてもビタミンC誘導体やビタミンA誘導体の入ったものを取り入れるといいと思います。
ブライセル「インプレCエッセンス」 ブライセル「インプレAクリーム」
メイクの際には、今以上に肝斑が濃くならないように、日焼け止め入りの化粧下地やファンデーションを使用されると良いでしょう。
また、ハイドロキノンの入ったコンシーラーもお勧めです。