脂漏性皮膚炎
脂漏性皮膚炎の症状
人間の皮脂は毛穴に付属する皮脂腺というところから分泌されていて、普段は毛に潤いやツヤを与える役目があります。
動物であれば皮脂で水をはじくため雨が降ってもずぶ濡れにならないですむ効果があります。人間の場合、この皮脂腺の働きが盛んなのが、顔であれば額や眉毛の上部のいわゆるTゾーンや鼻わきから頬にかけての部分、顔以外では頭皮、耳の内側、わきの下、おへそ、鼠径部などがあります。
これらの部位に赤くカサカサして症状が出てくるので、乾燥が原因ではないかと間違われ、油分の高い保湿剤などを塗ってかえって毛穴をふさいでニキビが出きるケースが時々あります。頭皮の場合は自分で地肌は見えない場所ですが、フケが多くなりかゆみを伴い受診されることが多い病気です。
脂漏性皮膚炎の原因
原因は、もともと皮膚に常在するカビが皮脂を好んで分解し、そこで生成された脂肪酸が皮膚に炎症を起こすことだといわれています。
このほかにも、食事の偏りにより皮脂の代謝を整えるビタミンB2、ビタミンB6が不足していること、ストレス、ホルモンバランスの崩れ、不規則な生活、洗髪や入浴不足による皮脂の貯留なども原因として指摘されています。
脂漏性皮膚炎の治療
治療は、手早く炎症をおさめるのにステロイドの塗り薬がよく使用されます。
脂漏性皮膚炎の場合は症状が顔や頭に出ることが多いので、顔の場合はステロイドの弱いランクから中程度のランクで十分効果を発揮します。頭の場合はそれよりも強いランクのものでローショタイプのものを使用してもらいます。
大抵はこれでおさまるのですが、この皮膚炎の基盤に皮脂の分泌が盛んでしかも皮脂が貯留しやすい環境因子が関わるため、症状は一旦良くなっても再び繰り返すこともよくあります。ただし、症状を頻繁に繰り返すからといってそのたびにステロイドの塗り薬を使用していると塗る期間が長期間に及んでしまうため、かえって毛細血管が拡張して皮膚が赤く見えたりしてくることもあります。
そこで、塗らないとすぐに再燃してしまう脂漏性皮膚炎の場合には、ステロイドのように効き目はシャープではありませんが長期間使用しても良いカビを抑える薬(抗真菌剤)を処方しています。
抗真菌剤は症状が強いときにステロイドと併用して塗ってもらってもいいし、症状が軽快してから塗り始めてもいいのですが、いずれにしても、症状の落ち着いているときにも抗真菌剤を塗っていくことで、症状の落ち着いた良い時期が長く続きます。
また、かゆみの強い時は抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤の飲み薬を処方しています。食事で補うのが大変な場合はビタミンB2やビタミンB6も処方しております。