ニキビのお悩みについて
ニキビは、私が研修医だった頃と現在とを比較して治療の幅が大きく広がった皮膚疾患のひとつだといえます。以前は抗菌剤の塗り薬をひとつ処方するくらいでしたが、現在はだいぶ選択肢が広がりました。
そこで、思春期のニキビはもちろん、それ以降も繰り返しできる大人の難治性ニキビの方にもその治療概要や日常生活の注意点をご紹介したいと思います。
ニキビの原因と症状
ニキビはご存知の通り、毛穴にセットで付属している皮脂腺から分泌される皮脂が毛穴にたまって角栓ができ、これが毛穴をふさいでしまうこと、また、皮脂の分泌が盛んになって皮脂が毛穴にたまることで「面皰(コメド)」ができます。
コメド自体は炎症はなく、自覚されない方も多いのですが、コメドの状態になった毛穴はもともと毛穴に常在するアクネ菌が増殖しやすくなり、炎症を起こす物質が増えます。その結果、炎症のある赤く腫れたブツブツ、あるいは白く膿んだブツブツが出来てきます。
この段階になって初めて「皮膚科に行ってみよう」と思われる方が多いようです。さらに炎症が進行すると、毛穴の壁が破れて膿の袋ができたり、硬く触れるようなニキビとなることもあります。
ニキビの治療について
このように、ニキビにも様々なステージがあり、そのステージの応じた治療が必要になってきます。
通常は、まず、アダパレンを塗って表皮細胞の分化を抑えて角質が増えないようにしたり、最近やっと日本でも発売になった過酸化ベンゾイルを塗って角質をはがしてコメドが減るようにしていきます。これらの塗り薬は、炎症を抑えたり殺菌効果も持ち合わせていて、赤く腫れたニキビ、白く膿んだニキビにも効果があります。
さらに最近、抗菌剤との合剤も発売され、ますますニキビの塗り薬の選択肢が広がりました。ここが、大昔のニキビ治療と大きく違う点です。
しかし、時にこれらの塗り薬で肌が乾燥したり、赤くなってヒリヒリすることもあるため、このような刺激症状が強く出てしまう方には、保険診療外のケミカルピーリングをご紹介しています。ケミカルピーリングではこのような刺激症状が強く出ることはほとんどなく、また、ニキビだけではなく、肌質を整え、くすみを改善し、肌のハリを保つ効果も同時に期待できるため、ご希望によっては、はじめからケミカルピーリングをご紹介する場合もあります。
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また、これらの塗り薬と同時に、脂質の代謝を整えるためにビタミンBの内服やニキビの発生機序に関わる活性酸素を抑える抗酸化作用や美白作用のあるビタミンCの内服も長期間続けることをお勧めしています。
もともと炎症性の強いニキビがメインの方には、抗菌剤の内服も追加して、とにかく早めに炎症を抑えてニキビ跡が残らないようにしていきます。
ニキビ 日常生活の注意点
最後に、日常生活においての注意点をいくつかご紹介します。
洗顔時には、石鹸をよく泡立てて泡で包み込むように洗顔してください。決して肌を強くこすらないようにしてください。その後、化粧水で水分をなじませ、ノンコメドジェニックな美容液や乳液を使用することが大切です。
また、ニキビの治療をしている方は、肌のバリア機能が低下して紫外線の影響を受けやすいため、日焼け止めの使用を心がけましょう。肌の敏感な方は紫外線吸収剤の入っていない「ノンケミカル」または「紫外線吸収剤フリー」と表記された日焼け止めを選ぶようにしてください。
メイクについては、油性成分の多く含まれているカバー力の強いファンデーション、毛穴をふさいでしまうクリームタイプやリキッドタイプのファンデーションは避けましょう。
他には、バランスのとれた食事、充分な睡眠時間を心がけ、これがなかなか難しいのですがストレスをためないように心がけましょう。